カラワラとウンバラカダ作り。(干し魚と鰹節)

僕は今、南端の街マータラを再訪しています。
その理由のひとつがカラワラとウンバラカダを作るところを見てみたいから。

「カラワラ」とは干し魚の総称で、
「ウンバラカダ」とは鰹節(スリランカ版)です。

スリランカは日本と同じく海に囲まれた島国。
魚。たくさん獲れます。食べます。
そして昔から、保存が利いて味の濃縮された干し魚が、海岸沿い、内陸地を問わず広く愛されています。スリランカのいたるとこにある「カラワラ」のお店。
すごくたくさんの種類があります。


この小魚は「ハールマッソー」。頻繁に食卓に登場します。


「ケラワッラ」。こまかく切って炒め物に。


「クーニッソー」桜えびのような小エビ。


「ダッロー」(イカ)じゃなくて、「 ブゥワッラー」(タコ)らしいです。

他にもたくさん。種類も干し具合も様々。
日本の干し魚のように焼いてそのままという食べ方ではなく、野菜の炒め物に入れたり、魚の風味を油に移して、炒め物の旨味をアップさせるような感じ(かな)。

ケラワッラとリース(ネギ)の炒め物。


素揚げしたハールマッソー(小魚)が入ったワンバトゥモージュ(ナス)のカレー。

調理方法もまだまだいっぱい。

 

それから、「ウンバラカダ」!
スリランカの鰹節。

すごーく固くてカチカチです。

細かく切ったり、潰して。
カレーに加えたり、和え物(サンボーラ)の味付けしたり、油に風味をプラスしたり。すごくいい仕事します。
ウンバラカダ入りポルサンボーラ。LOVE。

パリップ(レンズ豆)のカレーの仕上げにも、油&ウンバラカダ他でテンパリング。

他にも色んな料理にフィットします。

 

そんな素敵な「カラワラ」&「ウンバラカダ」を製造するところに行ってきました。

まずは「カラワラ」(干し魚)。
今日はケラワッラという魚が干されていました。


作り方は、水揚げされたケラワッラを開いて一晩塩漬けに。

↑写真は塩漬けの様子。下に溜まる液体は魚の血。
塩水でしっかり洗ってから、スリランカの強烈な日光にさらします。
上の写真は干して2日目。計3日間干すそうです。

そして、面白いのは「ウンバラカダ」作り。
ティディー社長自ら出演のムービーで↓

※タバコとツバメのタトゥーがクール。

新鮮なバラヤ(たぶん鰹)の頭を取って、切れ目を入れて、塩とゴラカの入ったお湯で湯がきます。それを手で4つに分けて、天日干し。
晴天の時に約6日間干すそうです。


奥が今日干したとこ。手前は2日目。

奥が3日目。手前が4日目。
触ると分かる。日に日にカチカチ。

こうして、港街で作られたカラワラ&ウンバカラダは、スリランカの各地へ運ばれていきます。
カラワラ作りの皆様。色々勉強になりました。ありがとございます!

 

【追記】
カラピンチャでは、ウンバラカダ(モルディブフィッシュ)の販売を行っています。
荒く砕いた「モルディブフィッシュ・チップス」と、さらに細かく砕いた「モルディブフィッシュ・パウダー」を用意しています。

◎モルディブフィッシュ(チップス)100g
◎モルディブフィッシュパウダー 100g

神戸・王子公園の店舗とオンラインストア「スパイスカラピンチャ」で取り扱っております。
スパイスカラピンチャ
どうぞ宜しくお願いします。

水牛のヨーグルト。ミーキリ。

僕のスリランカ滞在も残りわずか。
キャーガッラのティッサ食堂で色んなカレーを作ってます!

ですが、
僕は今、今回の滞在で一度、訪問&滞在した南端の街マータラへ再度来ています。
お世話になった挨拶をしに。

ところで、
このマータラを含むスリランカ南部でよく目にする「牛」。
それは「水牛」。

毎日、川や池の水辺で水浴びしています。

シンハラ語では「ミーハラカー」といいます。いつも白い鳥「コカ」と一緒。
(普通の牛は「ハラカー」もしくは「エラハラカー」)

そして、水牛が多い南部エリアの店先で良く見かけるのが、この土の壷。

これは、「水牛の乳で作ったヨーグルト」=「ミーキリ」です。
(「キリ」=「ミルク」)

ミーハラカーの牛舎↓
見学させてもらったマータラでも有名なハリスチャンドラの牛舎のミーハラカー達。朝は乳を搾られて、午後は近くの川辺で自由時間。

ミーキリ(水牛のヨーグルト)は絞った乳に菌を加えて発酵させるという製造工程は普通のヨーグルト。でも、普通の牛のヨーグルト(日本によくある)と比べるとかなり濃厚で酸味も強い。

このミーキリーにキトゥルという木の花からとれる蜜「キトゥルパニ」(「パニ」=「蜜」)をたっぷりかけて「キリパニ」に。いただきます。

このキトゥルパニもまた濃厚で甘い。
ちなみに、キトゥルの木はこんなの↓

ミーキリ。いただきます★
ミーキリを食べ終わると土の壷(マティムッティ)は、
バリンっと割って土に帰します。


辛いカレーの食後には果物もいいけど、ミーキリもニアマイ!(良い!)ごちそうさま。ありがとう。

のばして丸めて。パラータ。

ほとんどのインド料理店にある「ナーン」。
小麦粉&油の風味。そんでフワッ&モチッの食感。カレーと良く合って。
すっかり日本に定着して愛されています。僕も好き!

スリランカの厨房には、ナーンを焼ける窯=タンドールはありません。
でも「ナーン」に負けないくらいフワッ&モチッとラサイ(美味しい)のあります★

紹介します。「パラータ」です。

この「パラータ」もインド料理なのですが、すっかりスリランカにも定着した美味しい粉もん。多くのレストランで食べることができます。

スリランカ的な「パラータ」の食べ方の一例。
ブチブチッとちぎったパラータお皿に広げて、

そこにホディ(汁気のあるカレー)をかけて、

写真は、キリマール(魚とココナッツミルク)のホディをかけてるところ。
その他、ポルサンボーラなんかをくわえるのも◎。
ホディ&パラータ。いい具合に絡んで、美味しー!

 

「ナーン」はフワッと美味しいのは、タンドールの中の上面に貼付けられて、重力によって中に空気が入るから。
でもこの「パラータ」は普通の鉄板の上で焼きます。
なのに、フワッと仕上がるのは、生地のこね方&焼き方に訳があり。

まず、「パラータ」のこね方のムービーで。

のばした生地をクルッと丸めることで、空気が入ります。
※のばしてる人は僕の粉もん類の先生ティキライヤー。

それを少し置いてから→焼きます!

丸めた「パラータ」の生地を再びのばして、鉄板へ

鉄板の上で両面をしっかり焼いて

その上、

焼き上がったパラータを「バン!バン!バン!」と勢い良く挟み叩くことで、
より一層、フワッと&モチッと仕上ります。食べるときにもちぎりやすい。
(この作業、とても熱い。手が。)

手軽に食べられる料理ですが、手間と時間がかかっています。

でも、
のばして丸めて、めっちゃ楽しい。
そして、
焼いて叩いて、めっちゃ熱い。
それから、
ちぎって絡めて、めっちゃ美味しい。

パラータ。

何のパーティー?

スリランカでは頻繁にホームパーティーが開かれます。

その都度、たくさんの料理が用意され、親戚、近所他たくさんの人が家にやってきます。僕も結婚パーティーや誕生日パーティー、それから年忌などの行事に参加したことがありますが、「食事を振る舞うこと」がいずれの行事においても大切なポイントのようです。美味しいご飯が食べれるので嬉しいです。

前回のブログで記したように、このようなホームパーティーでに食事の用意はケータリングサービスを頼むことも良くあります。
今回、僕がステイする家族の親戚の家でパーティーがあり、シェフを呼んでたくさんの料理を作るということで、僕も調理を手伝うことになりました。イエイ。

今回、コロンボからやって来たシェフはこの人、サンパさん。

親戚と僕とで彼をサポート。200人分近くの料理を用意します。

パーティーの前夜に仕込みがスタート。

庭に設置された特設厨房

マレーアッチャール(漬物)の仕込み。ラタインディ(デーツ)を投入。


ククルマス(チキン)仕込み中。


親戚の子供達もボーンチ(インゲン)の筋を取る作業を手伝います。


ワンバトゥモージュ(ナスのカレー)仕込み中。
ワンバトゥ(ナス)、ハールマッソー(小さい干魚)、ビールーヌ(タマネギ)を素揚げ。
※このワンバトゥモージュ、味付けのポイントは「お酢」です。
世界には色んなお酢がありますが、スリランカのお酢はコレ↓

ウィナーキリ!(ココナッツビネガー!)。

 

作業は深夜まで続き、またも固い床での雑魚寝でした。
もう慣れたので平気ですが、この家に手伝いに来て、ずーっと疑問に思っていることがありました。
「これ、一体何のパーティーなんやろう?」

色んな人に聞いてみても、僕のシンハラ語の能力では理解できず、説明するのも難しいようで、曖昧な返事をされたり・・・。

オヤスミ(1:00)→オハヨー(4:00)。

パーティー当日。調理がスタート!

慌ただしく、たくさん料理 を仕上げていきます。

アラテルダーラ(ジャガイモの炒め物)


ククルマス(チキン)カレー


大量のカツレット(小さな丸いコロッケ)を丸めて衣を付ける女性陣。

そうこうしている間に、家の中では儀式がスタート。

主役の女の子がみんなにプレゼントをもらったり、お祈りをしてもらったり。
でも誕生日パーティーではないと言うし、結婚には若すぎる&相手も見当たらない。
僕の疑問は深まるばかり。。。

さておき。

調理も終盤。
お米を炊いて、エラワルバトゥという混ぜご飯を作ったり、パパダンという塩味の効いた煎餅を揚げたり。

写真左の炒めた野菜を白いご飯に混ぜて、写真右のエラワルバトゥの出来上がり。

そして、200人分の料理をセッティング。
とほぼ同時にみんなご飯を食べに来ます。



たくさんの人がワイワイガヤガヤ食事、会話、音楽を楽しみます。
頻繁に親戚が集うスリランカの風習は、ホントにいいなぁと思います。

<みんなで頑張って作ったカレー達>

ククルマス(チキン)のカレー。


アラテルダーラ(じゃがいもの炒め物)とマール(魚)のカレー

ボーンチ(インゲン)とパリップ(レンズ豆)。
いずれもココナッツミルク仕上げでマイルドテイスト。


ワンバトゥモージュ。
ワンバトゥ(ナス)とウィナーキリ(ココナッツのお酢)とポルテル(ココナッツオイル)が独特の風味を生み出します。


左からサラーダ(野菜&果物)、カツレット(ちび丸コロッケ魚入り)、マレーアッチャール。

いずれも定番料理ばかりですが、ここでもシェフの個性が引き立ちます。
サンパさんの味付けは「まっすぐ辛い!」。
ミリスクドゥ(レッドペッパー)を大量に使ったチキンカレーや魚のカレーは、スリランカの人も「サライ!(辛い!)」といいます。
でも、それでOK。
辛い分ご飯が進み、また他のマイルドのカレーとの緩急ができるわけですね。
混ぜて食べるとさらに美味しー!

僕も美味しく頂きました。

欲張り全部盛り★

今回もたくさん作って、たくさん学ぶことができました。
ありがとうございます。

でも、僕の疑問
「いったい何のパーティーなのか?」
パーティーが終わっても分からず。

結局、
帰宅後、僕のステイ先の長男で日本に住むサナさんとスカイプで話したときに日本語で教えてもらって、ようやく理解。

なんと、
女の子が初潮を迎えたお祝いだそうです。

えーっ!どんだけ盛大なの??

そういえば、その女の子が恥ずかしそうしてたような気もするし、みんなが僕に説明するのを難しがったり、ためらったりしていたことも、後から思えば納得。

でも、日本もお赤飯炊いたりするもんね。
素敵なパーティーであること間違い無し。

あらためて、おめでとうございます!

聖なる山「スリー・パーダ」で。

スリランカにはスリー・パーダ(英語:アダム・スピーク)という聖なる山があります。

標高2238m。この山の頂上には大きな足跡があり、これを仏教徒は仏陀のものと、ヒンドゥー教徒はシバ神のものと、キリスト教徒とイスラム教徒はアダムのものと信じて、頂きにのぼりそれを拝むそうです。(参照:地球の歩きかた)
たくさんの人が、何度も何度登るそうです。

今年は、スリランカカレーの店カラピンチャをオープンさせる大切な年です。
その決意を誓うため、スリー・パーダーに今年も登ることにしました。(3度目)
半日(午後)+半日(午後)。前後は仕事の強行ショートトリップ。

旅を共にしたのは、この3人。

左が僕が働く食堂のティッサボスの長男ロシャン。真ん中はミーヤ(ミーヤはシンハラ語でネズミ。みんながミーヤと呼ぶのでホントの名前は知らない)。右がランガ。
3人とも遊び熱心。

スリー・パーダを登頂するために麓のナラタニヤという小さな街までバス&汽車を乗り継いで移動します。
汽車もバスも坂道を轟音をたてながら登ってきます。



途中。汽車でハットンの駅に到着したら、まずは持参のお弁当で腹ごしらえ。

お弁当を包んでいるのはバナナの葉。防腐効果に加えて、美味しさ倍増!
周りの人もお弁当食べてます。
と思ったら、ロシャン達は、知らない他人の弁当を食べ始めました。相手も僕らの弁当を食べます。「ちょっとちょうだい。」「もっと食べ。もっと食べ。」みたいな。とってもスリランカ的。

さらにバスに乗って、
18:00 スリー・パーダ麓の小さな街「ナラタニヤ」の到着。
到着して、最初にすること。
それは麓の川で身を清めます。
しっかり浴びます。洗います。
実は、標高が高くてけっこう寒い。

そして、日が落ちた頃に登頂開始。
スリー・パーダには夜に登るのが一般的。はすごく冷えて寒いのですが、それ以上に日中の日光(紫外線)が強いので。

夜のスリー・パーダ。
登山道には灯りが設置されており、足下も階段が設置されているところがほとんで、子供やお年寄りもみんな登ります。
トレッキングと捉えると少し、魅力にかけるかも知れないですが、★めちゃめっちゃキレイ!

2月はスリーパーダ登頂のハイシーズン。しかもこの日は土曜日の夜で、すごい人。

前も後ろも人だらけ。。。。
ゆっくりゆっくりしか進めません。
過去に登った時はこんなに人がいなかったので、今回は少しストレスを感じつつも、一歩一歩一歩一歩。

多くの人は、かけ声を掛けて、励まし合いながら登ります。
途中にはいろんなお店があり、あったかい紅茶やロティなどを食べられます。


湯がいただけのひよこ豆=「カダラ」。ルヌ(塩)とミリスクドゥ(チリペッパー)とポル(削ったココナッツ)をまぶして食べます。シンプルに美味しい!

約5時間かけて、ちょうど0時頃に頂に。

そこは、仏陀(仏教徒にとっては)の足跡を祭るお寺になっています。

すごく寒いんですが、独特の気持ち良さ。
そして、未来のお店「カラピンチャ」への思いをスリー・パーダに告げました。

さぁ、下山です。
岐路もやっぱりたくさんの人。
真っ暗なので、景色はやっぱり見えません。。。でも★めちゃめちゃキレイ。
※ちなみに一昨年と昨年は今回とは違い、深夜に登頂をはじめ、頂上で日の出を拝みました。まさに絶景。
ホントのところ。平日&この時間帯での登頂で、日の出を拝むのがオススメ。
昨年、頂上から拝んだ日の出↓

そして、5:00 無事に下山。

そういえば帰り道、ハットンの街で立ち寄って食べたライス&カリー美味しかった。
左下から時計回りで、ワッタッカー(カボチャ)。アルケセル(バナナ)のマッルン。 リース(ネギ)とハールマッソー(干した小魚)、パリップ(レンズ豆)、ポルサンボーラ。
アルケセルのマッルンが優しい味だけど、印象的★

帰りの汽車は連結部分でオヤスミナサイ。夜の仕事が待ってます。

スリランカでの料理修行もすでに2ヶ月半。
確かな成長を感じながらも、未来にいくつかの不安と迷いも。

今が一番楽しいってことも分かってる。
日本に帰って待ち受けている現実。
店の場所。規模。提供する料理。お金のこと。
店の名前「カラピンチャ」以外は、まだはっきり決まってない。

大丈夫かな?

スリー・パーダで確かめた自分の思いを素直に実践していけば全て楽しめるはず。

残りのスリランカの日々&日本に帰ってからの開店準備。
カラピンチャ。頑張ります!