スリランカのパン工場何度も紹介していますが、スリランカはけっこうパンな国です。
スリランカの食事は、間違いなくご飯(お米)が中心にあり、それを食べるための料理がたくさんあるわけです。
しかしながら、長い植民地時代の歴史の中でパンの食文化は根付き、今もとても愛されています。
僕もめっちゃ好きです!
そんなスリランカのパン作りを学ぼうと、今回はマータラにある「ディラーニ・ベーカリー(DILANI BAKERY)」で泊まりがけで各種のパン作りを体験させていただきました。
こちらのベーカリーは、僕達が滞在するジャヤさん宅のお店に各種パンを納品しています。
ちなみにジャヤさんの店はこんな感じ↓↓↓
「ディラーニ・ベーカリー」から納品されるパン(半日分)
これがびっくりするくらい良く売れます。でも納得の美味しさ。
それと、私事ですが、
実は2011年から2012年にかけて、キャーガッラのティッサ食堂で働いていた時も、併設されるパン工場で何度もパン製造の様子は見たり、手伝ったりしていました。
ですが、その当時は食堂での労働の気晴らしくらいの感覚で遊びに行っていたのが本音。自分の関心も「ライス&カリー」に偏っていたこともあり、それ程真剣に取り組めてなかったような気がします。
ティッサ食堂のベーカリーの様子は下記アドレスのブログ記事で。
◎ベーカリー。デリバリー。2012. https://karapincha.jp/blog/?p=444
スリランカのパンへの関心は年々強まり、今回はたった2日間ですが、出来る範囲で勉強させてもらおうと思います。
とは言っても、アウトプットの予定はありませんが。
「ディラーニ・ベーカリー」の母屋。
いい感じに歴史を刻んでいます。
夜。
スタッフを入れ替えながら、工場は24時間稼働中。
薪を使う窯「ダラ・ポーラヌワ」はとても大きい。
最近はガス式のオーブンを使うベーカリーも増えましたが、
「パンの出来上がり。見た目はガス式の方が良いが、味はダラ・ポーラヌワの方が良い。」というのは良く聞きます。
ちなみに、僕がいたティッサホテルのベーカリーは、4年程前にガスオーブンを導入。
さらにこちらのベーカリー。生地は、
手捏ね。
これは大変。
一日200kg近くの小麦粉を捏ねるそうです。
そんな「ディラーニ・ベーカリー」。
こちら(左)が社長。
ディヌシュカさん。デリバリーを担当。
創業者であるディヌシュカ社長のお父さん。
めっちゃ元気でめっちゃ手伝ってます。
ベーカリーでは、様々な作業が同時に進んでいきますが、
パンの種類や製造風景を許可を貰った範囲でランダムに紹介します。(動画もあり)
まず。
みんな大好き「マールパン」。
「マール」は「魚」。
鯖、玉ねぎ、ジャガイモなどを辛く炒めた具が入っています。
三角形がトレードマーク。
ちなみに鯖が入ってないタイプは「サンバルパン」といって、区別がつくように円筒形状に仕上げます。
休憩時間に焼きたてを。
包み方を動画でどうぞ。
続いて。
シンプルな丸いパン。
右が「テーバニス」。左がひと回り小さいの2つのバニスの間にクリームを挟んだ「クリームバニス」。
両手それぞれで丸めて成形。
続いて
「スポンチー」。
いわゆる「スポンジケーケ」です。
甘くて、ボソっとしてるんですが、その感じが◎。
焼く前はこんなん。
続いて
「ペイスティ」。
さくさくデニッシュないわゆる「Pastry」。
折って伸ばして折って伸ばしての繰り返し。
カット作業。
こちらもいつもの辛い具を包みます。
続いて。
左は「キンブラバニス」。右は「ジャームパース」。
キンブラ=ワニ。ワニのような形だから。(別名:「ピヤナロール」)
いずれも、ザラメの砂糖がまぶされています。「ジャームパース」の方は、中にポルパニという削ったココナッツの実を蜜で煮詰めた具も入ってさらに甘い。
僕は「キンブラバニス」が大好き!
テーカハタ(砂糖も入らないストレートティー)との相性Good!!
「ジャームパース」の生地伸ばし。
包んだエンドは小さな瓶を使って。
「キンブラバニス」を成形するシーンを動画でどうぞ。
簡単そうに見えますが、均一な厚み&大きさに整えていくのがなかなか。
続いて。
ゆで玉子を挟んでいる方が「ビッタラバン」。
オムレツを挟んでいるのが「オムレットバン」。
ソーセージを挟んでいるのが「ソーセージェスバン」。
玉子と青唐辛子と玉ねぎ。シンプルです。
まだ数種あるのですがひとまずここまで。
軽食やおやつといったカテゴリーのパン達でした。
そして、
主食としてのパンを紹介します!!
左から
「ペティパーン」
「パーン」
「バーガパーン」
「ロースパーン」です。
「ペティパーン」は「サンディッチパーン」とも呼ばれます。サンドイッチ用ってことですね。
その通り、マーガリン(スリランカではバターよりもポピュラー)とザラメの砂糖、またオムレットと野菜達、またシーニサンボーラなどを挟んで食べます。
薄くカットされ袋に入っての販売が一般的。
「パーン」は、
日本で言う山食パン。スリランカで最も愛されているパンです。
パーンをちぎりながら、カレー他おかずを混ぜ込みながら食べるのが一般的。
ジャヤさんのお店でも、すごい勢いで毎日60本近く売れて行きます。
「パーン」の焼き上がりシーンの動画です。
「バーガパーン」
の「バーガ」は「半分」を意味。
半分のパーン。しかも縦方向に。
そして、
「ロースパーン」
これも「パーン」に負けないくらい愛されています。
「ロース」はきっと「Roasted」の意。
分かりやすく説明すると、カットした食パンの全面が焼かれているような感じ。
パンの耳付近の食感が好きなら「ロースパーン」気に入ると思います。僕は大好き!
ジャヤさんの店では、一日約45枚売れます。(またこの例え要る?ってやつです。)
その製造工程を簡単に。
深くて大きいトレイに、伸ばした生地を詰めていきます。
窯にいれるタイミングには、発酵による膨張でギッチリ。
そして焼き上がり。(動画)
でも、これは一度目の焼き上がり。
焼けてくっ付いたパンをバラして、トレイに広げます。
これを再度、窯に入れることで断面にも焼き目を。
これで、全面がしっかり焼けて完成です!
<追記>
パーンとロースパーンの製造風景を動画を編集して分かりやすくまとめました。
是非、ご覧ください。
ここから脱線。
この「ロースパーン」。
カレーやおかずと合わせるのが一般的と前記しました。
こんな感じ。
お昼休憩のまかない。
でも、「ロースパーン」のちょっとした最近の流行はこんなスタイル↓↓↓
「スプ(スープ)」と「ロースパーン」
写真は、マータラのタウンにある「サマンマル」というスプの専門店のもの。
「チキンスプ」に「ロースパーン」を浸して食べます。
やや固く肌理が粗めのパンに汁がいい感じにしゅんで美味しい!
狭い店には常に賑やか。持ち帰りの客も多数。
みんな「スプ」&「ロースパーン」。
スリランカの人々が汁物を食べるというのは、スリランカ料理に関心のある方程、意外と感じるかもしれません。
しかしながら、家庭でこそ登場する機会は少ないですが、「スプ」の店は探せばそこそこあって、どこも人気店であることが多いです。
何か不思議な魅力というか可能性を感じる「ロースパーン」。
オモシロイ!
そんなこんなで、
みっちりクラシックなベーカリーを体験させていただいた刺激的な2日間でした。
カラピンチャの店舗でパンなどを提供することは予定していませんが、スリランカの食文化を深く探っていくことに勝手に使命感を感じています。
スキルもなければ、分からないことばかりですが、スリランカにしっかり根付いたパンの文化とも今後も向き合って行こうと思います。
ディラーニ・ベーカリーの皆さん、本当にありがとうございました!
また遊びに来させて下さい。宜しくお願いします。
<おまけのベーカリーいい感じ写真>
客人その1。
窯の背面にある火力調整穴。
「スポンチー」(スポンジケーキ)のつまみ食い。
客人その2。
ただいま発酵中。
真夜中の窯
客人その3。
夜中には客人その4(イノシシさん)も来てました。
僕達のボディガード。