My アーッパターッチ。

僕のスリランカ滞在も残り2日。

再び、キャーガッラ・ティッサ食堂に戻っての仕事の日々。
厨房のみんなも僕にいろんな仕事をさせてくれます。感謝。

カレー作りが最高に面白いのは間違いないのですが、
僕の好きな仕事のひとつにアーッパ作りがあります。

アーッパとは
米粉とココナッツミルクでつくられた汁を小さな底が丸い鍋に延ばして焼いたシンプルで美味しい料理。
ルヌミリスやシーニサンボールといった薬味と一緒に頂きます。
夕食前に食べたり、アーッパだけを楽しんだり。

アーッパを作るには、
アーッパのもとになる汁「アーッパピティ」が必要です。

まず、
ポルキリ(ココナッツミルク)を用意するために、
ポル(ココナッツ)を割って、専用の機械で削ります。毎日アーッパ分としてはポル10個程。
そして、削ったポルの実と水を混ぜて、絞る絞る絞る。一番絞り→二番絞り→三番絞り

そして、そのポルキリ(ココナッツミルク)と
大量のハールピティ(米粉)、砂糖、塩などを最適な分量でよく混ぜて、

時間をかけて発酵させると、アーッパピティ(アーッパのもとになる汁)の出来上がり。

そのアーッパピティを小さな鍋で半球状に焼き上げることで、
アーッパが出来上がります。

食堂の若頭スーギリによるアーッパ焼きの動画をどうぞ。

※卵が入ったのはビッタラアーッパ。美味しい。(ビッタラ=卵)

このアーッパ焼き。
夜の営業時間は常にたくさんの注文が入るので、一度焼きはじめるとずーっとこの作業の繰り返し。
楽しい。

アーッパ焼きに欠かせないアーッパターッチ(ターッチ=鍋)。

写真はティッサ食堂で3年間使っているアーッパターッチ。
実は、普通の小さなターチ(鍋)を改造したカスタムメイド。
2本の棒で取っ手の部分を掴んで調理します↓

下の写真のような持ち手が付いた専用のアーッパターチもあります。

他にも、最近では簡単にアーッパがはがれるテフロン加工のものがあったり。

僕は、日本でもアーッパを作るためにアーッパターチを買って帰ることにします!
持って帰るのは、やはり普段から使い慣れているティッサ食堂同様に小さなターッチを改造したもの。

鍋の方向をくるくる簡単に変えることができるので、全体を均一に焼くことができます。
しかも、カッコイイ★

ということでまず、ターッチを購入。8つ!


でも、このままだと普通のターッチ(鍋)。
アーッパを作るには、ここから改造が必要です。
ってことで、まず
片方の取っ手をバキッ!
そして、もう片方もバキッ!
もともと付いてる取っては強度が弱く、取っ手の角度もいまいちなんです。
それから、
取っ手を外した8つのターッチを、仕事の休憩時間を利用して、近所の小さな鉄工所へ持ち込みます。


別で購入した「細くて長くて丈夫な棒」も持ち込んで。

その棒を切って、新しい取っ手を作って、ターッチに取り付けます↓

新たな取っ手をアーッパ作りに耐えれるように、溶接で固定↓


やったー。
でも、これだけでは、アーッパターッチは未完成。
真新しいしいアーッパターッチでは、アーッパがなかなか上手に焼けません。

奇麗にはがれなかったり、、火の通りが強すぎたり苦戦。
使い込んだターッチほど、使い易いわけなんですね。
そー言えば、たこ焼きの鉄板もそうですね。
もっと言えば、車のエンジンだって慣らし運転が必要です。
という訳で、
ワガママを聞いてもらい、僕が働く食堂で、日本に持ち帰るアーッパターッチの慣らし運転をさせてもらっています。感謝。

右のが僕のアーッパターチ。左がお店の。

なにせ、4つのコンロをフル回転っせて、一晩で700枚程のアーッパを作るお店。
きっちり使えるアーッパターッチに仕上がるはず。

このアーッパターッチを使って、日本で美味しいアーッパを作りたいな。

 

<追記/2021.04.27>
カラピンチャでは、アーッパを焼くための鍋「アーッパターッチ(Hopper Pan)」を販売しています。スリランカ製。
アーッパターチこのブログ記事で紹介したカスタムメイドのものではなく、アーッパを焼くために製造された専用鍋です。
以下、オンラインストアの商品ページから、詳細をご確認いただけます。
◎アーッパターッチ(Hopper Pan)https://spice-karapincha.jp/?pid=150400395


下記のバナーからオンラインストア(トップページ)にもアクセスできます。

スパイスカラピンチャスパイスカラピンチャ

カラワラとウンバラカダ作り。(干し魚と鰹節)

僕は今、南端の街マータラを再訪しています。
その理由のひとつがカラワラとウンバラカダを作るところを見てみたいから。

「カラワラ」とは干し魚の総称で、
「ウンバラカダ」とは鰹節(スリランカ版)です。

スリランカは日本と同じく海に囲まれた島国。
魚。たくさん獲れます。食べます。
そして昔から、保存が利いて味の濃縮された干し魚が、海岸沿い、内陸地を問わず広く愛されています。スリランカのいたるとこにある「カラワラ」のお店。
すごくたくさんの種類があります。


この小魚は「ハールマッソー」。頻繁に食卓に登場します。


「ケラワッラ」。こまかく切って炒め物に。


「クーニッソー」桜えびのような小エビ。


「ダッロー」(イカ)じゃなくて、「 ブゥワッラー」(タコ)らしいです。

他にもたくさん。種類も干し具合も様々。
日本の干し魚のように焼いてそのままという食べ方ではなく、野菜の炒め物に入れたり、魚の風味を油に移して、炒め物の旨味をアップさせるような感じ(かな)。

ケラワッラとリース(ネギ)の炒め物。


素揚げしたハールマッソー(小魚)が入ったワンバトゥモージュ(ナス)のカレー。

調理方法もまだまだいっぱい。

 

それから、「ウンバラカダ」!
スリランカの鰹節。

すごーく固くてカチカチです。

細かく切ったり、潰して。
カレーに加えたり、和え物(サンボーラ)の味付けしたり、油に風味をプラスしたり。すごくいい仕事します。
ウンバラカダ入りポルサンボーラ。LOVE。

パリップ(レンズ豆)のカレーの仕上げにも、油&ウンバラカダ他でテンパリング。

他にも色んな料理にフィットします。

 

そんな素敵な「カラワラ」&「ウンバラカダ」を製造するところに行ってきました。

まずは「カラワラ」(干し魚)。
今日はケラワッラという魚が干されていました。


作り方は、水揚げされたケラワッラを開いて一晩塩漬けに。

↑写真は塩漬けの様子。下に溜まる液体は魚の血。
塩水でしっかり洗ってから、スリランカの強烈な日光にさらします。
上の写真は干して2日目。計3日間干すそうです。

そして、面白いのは「ウンバラカダ」作り。
ティディー社長自ら出演のムービーで↓

※タバコとツバメのタトゥーがクール。

新鮮なバラヤ(たぶん鰹)の頭を取って、切れ目を入れて、塩とゴラカの入ったお湯で湯がきます。それを手で4つに分けて、天日干し。
晴天の時に約6日間干すそうです。


奥が今日干したとこ。手前は2日目。

奥が3日目。手前が4日目。
触ると分かる。日に日にカチカチ。

こうして、港街で作られたカラワラ&ウンバカラダは、スリランカの各地へ運ばれていきます。
カラワラ作りの皆様。色々勉強になりました。ありがとございます!

 

【追記】
カラピンチャでは、ウンバラカダ(モルディブフィッシュ)の販売を行っています。
荒く砕いた「モルディブフィッシュ・チップス」と、さらに細かく砕いた「モルディブフィッシュ・パウダー」を用意しています。

◎モルディブフィッシュ(チップス)100g
◎モルディブフィッシュパウダー 100g

神戸・王子公園の店舗とオンラインストア「スパイスカラピンチャ」で取り扱っております。
スパイスカラピンチャ
どうぞ宜しくお願いします。

水牛のヨーグルト。ミーキリ。

僕のスリランカ滞在も残りわずか。
キャーガッラのティッサ食堂で色んなカレーを作ってます!

ですが、
僕は今、今回の滞在で一度、訪問&滞在した南端の街マータラへ再度来ています。
お世話になった挨拶をしに。

ところで、
このマータラを含むスリランカ南部でよく目にする「牛」。
それは「水牛」。

毎日、川や池の水辺で水浴びしています。

シンハラ語では「ミーハラカー」といいます。いつも白い鳥「コカ」と一緒。
(普通の牛は「ハラカー」もしくは「エラハラカー」)

そして、水牛が多い南部エリアの店先で良く見かけるのが、この土の壷。

これは、「水牛の乳で作ったヨーグルト」=「ミーキリ」です。
(「キリ」=「ミルク」)

ミーハラカーの牛舎↓
見学させてもらったマータラでも有名なハリスチャンドラの牛舎のミーハラカー達。朝は乳を搾られて、午後は近くの川辺で自由時間。

ミーキリ(水牛のヨーグルト)は絞った乳に菌を加えて発酵させるという製造工程は普通のヨーグルト。でも、普通の牛のヨーグルト(日本によくある)と比べるとかなり濃厚で酸味も強い。

このミーキリーにキトゥルという木の花からとれる蜜「キトゥルパニ」(「パニ」=「蜜」)をたっぷりかけて「キリパニ」に。いただきます。

このキトゥルパニもまた濃厚で甘い。
ちなみに、キトゥルの木はこんなの↓

ミーキリ。いただきます★
ミーキリを食べ終わると土の壷(マティムッティ)は、
バリンっと割って土に帰します。


辛いカレーの食後には果物もいいけど、ミーキリもニアマイ!(良い!)ごちそうさま。ありがとう。

のばして丸めて。パラータ。

ほとんどのインド料理店にある「ナーン」。
小麦粉&油の風味。そんでフワッ&モチッの食感。カレーと良く合って。
すっかり日本に定着して愛されています。僕も好き!

スリランカの厨房には、ナーンを焼ける窯=タンドールはありません。
でも「ナーン」に負けないくらいフワッ&モチッとラサイ(美味しい)のあります★

紹介します。「パラータ」です。

この「パラータ」もインド料理なのですが、すっかりスリランカにも定着した美味しい粉もん。多くのレストランで食べることができます。

スリランカ的な「パラータ」の食べ方の一例。
ブチブチッとちぎったパラータお皿に広げて、

そこにホディ(汁気のあるカレー)をかけて、

写真は、キリマール(魚とココナッツミルク)のホディをかけてるところ。
その他、ポルサンボーラなんかをくわえるのも◎。
ホディ&パラータ。いい具合に絡んで、美味しー!

 

「ナーン」はフワッと美味しいのは、タンドールの中の上面に貼付けられて、重力によって中に空気が入るから。
でもこの「パラータ」は普通の鉄板の上で焼きます。
なのに、フワッと仕上がるのは、生地のこね方&焼き方に訳があり。

まず、「パラータ」のこね方のムービーで。

のばした生地をクルッと丸めることで、空気が入ります。
※のばしてる人は僕の粉もん類の先生ティキライヤー。

それを少し置いてから→焼きます!

丸めた「パラータ」の生地を再びのばして、鉄板へ

鉄板の上で両面をしっかり焼いて

その上、

焼き上がったパラータを「バン!バン!バン!」と勢い良く挟み叩くことで、
より一層、フワッと&モチッと仕上ります。食べるときにもちぎりやすい。
(この作業、とても熱い。手が。)

手軽に食べられる料理ですが、手間と時間がかかっています。

でも、
のばして丸めて、めっちゃ楽しい。
そして、
焼いて叩いて、めっちゃ熱い。
それから、
ちぎって絡めて、めっちゃ美味しい。

パラータ。

何のパーティー?

スリランカでは頻繁にホームパーティーが開かれます。

その都度、たくさんの料理が用意され、親戚、近所他たくさんの人が家にやってきます。僕も結婚パーティーや誕生日パーティー、それから年忌などの行事に参加したことがありますが、「食事を振る舞うこと」がいずれの行事においても大切なポイントのようです。美味しいご飯が食べれるので嬉しいです。

前回のブログで記したように、このようなホームパーティーでに食事の用意はケータリングサービスを頼むことも良くあります。
今回、僕がステイする家族の親戚の家でパーティーがあり、シェフを呼んでたくさんの料理を作るということで、僕も調理を手伝うことになりました。イエイ。

今回、コロンボからやって来たシェフはこの人、サンパさん。

親戚と僕とで彼をサポート。200人分近くの料理を用意します。

パーティーの前夜に仕込みがスタート。

庭に設置された特設厨房

マレーアッチャール(漬物)の仕込み。ラタインディ(デーツ)を投入。


ククルマス(チキン)仕込み中。


親戚の子供達もボーンチ(インゲン)の筋を取る作業を手伝います。


ワンバトゥモージュ(ナスのカレー)仕込み中。
ワンバトゥ(ナス)、ハールマッソー(小さい干魚)、ビールーヌ(タマネギ)を素揚げ。
※このワンバトゥモージュ、味付けのポイントは「お酢」です。
世界には色んなお酢がありますが、スリランカのお酢はコレ↓

ウィナーキリ!(ココナッツビネガー!)。

 

作業は深夜まで続き、またも固い床での雑魚寝でした。
もう慣れたので平気ですが、この家に手伝いに来て、ずーっと疑問に思っていることがありました。
「これ、一体何のパーティーなんやろう?」

色んな人に聞いてみても、僕のシンハラ語の能力では理解できず、説明するのも難しいようで、曖昧な返事をされたり・・・。

オヤスミ(1:00)→オハヨー(4:00)。

パーティー当日。調理がスタート!

慌ただしく、たくさん料理 を仕上げていきます。

アラテルダーラ(ジャガイモの炒め物)


ククルマス(チキン)カレー


大量のカツレット(小さな丸いコロッケ)を丸めて衣を付ける女性陣。

そうこうしている間に、家の中では儀式がスタート。

主役の女の子がみんなにプレゼントをもらったり、お祈りをしてもらったり。
でも誕生日パーティーではないと言うし、結婚には若すぎる&相手も見当たらない。
僕の疑問は深まるばかり。。。

さておき。

調理も終盤。
お米を炊いて、エラワルバトゥという混ぜご飯を作ったり、パパダンという塩味の効いた煎餅を揚げたり。

写真左の炒めた野菜を白いご飯に混ぜて、写真右のエラワルバトゥの出来上がり。

そして、200人分の料理をセッティング。
とほぼ同時にみんなご飯を食べに来ます。



たくさんの人がワイワイガヤガヤ食事、会話、音楽を楽しみます。
頻繁に親戚が集うスリランカの風習は、ホントにいいなぁと思います。

<みんなで頑張って作ったカレー達>

ククルマス(チキン)のカレー。


アラテルダーラ(じゃがいもの炒め物)とマール(魚)のカレー

ボーンチ(インゲン)とパリップ(レンズ豆)。
いずれもココナッツミルク仕上げでマイルドテイスト。


ワンバトゥモージュ。
ワンバトゥ(ナス)とウィナーキリ(ココナッツのお酢)とポルテル(ココナッツオイル)が独特の風味を生み出します。


左からサラーダ(野菜&果物)、カツレット(ちび丸コロッケ魚入り)、マレーアッチャール。

いずれも定番料理ばかりですが、ここでもシェフの個性が引き立ちます。
サンパさんの味付けは「まっすぐ辛い!」。
ミリスクドゥ(レッドペッパー)を大量に使ったチキンカレーや魚のカレーは、スリランカの人も「サライ!(辛い!)」といいます。
でも、それでOK。
辛い分ご飯が進み、また他のマイルドのカレーとの緩急ができるわけですね。
混ぜて食べるとさらに美味しー!

僕も美味しく頂きました。

欲張り全部盛り★

今回もたくさん作って、たくさん学ぶことができました。
ありがとうございます。

でも、僕の疑問
「いったい何のパーティーなのか?」
パーティーが終わっても分からず。

結局、
帰宅後、僕のステイ先の長男で日本に住むサナさんとスカイプで話したときに日本語で教えてもらって、ようやく理解。

なんと、
女の子が初潮を迎えたお祝いだそうです。

えーっ!どんだけ盛大なの??

そういえば、その女の子が恥ずかしそうしてたような気もするし、みんなが僕に説明するのを難しがったり、ためらったりしていたことも、後から思えば納得。

でも、日本もお赤飯炊いたりするもんね。
素敵なパーティーであること間違い無し。

あらためて、おめでとうございます!