ヌワラエリヤ。
最大の目的は紅茶体験。
でもタミルの人が多い街での楽しみは、やっぱりタミル料理。
スリランカは多民族国家です。シンハラ人が約7割を占めますが、約2割は昔のインドから移民の流れを持つタミル人です。
宗教や言語も異なります。
料理も異なります。
でも、タミルの食堂にシンハラ人が行けば、シンハラの食堂にタミルの人も行きます。
ワデーやトーセなどは、タミル料理ですがスリランカ全土でとてもポピュラーになっています。
このふたつの料理の区分は、長い歴史の中で交流し、はっきりできない部分もありますが、それでもやっぱり違います。
味の方向性、材料、調理法、提供方法。
ヌワラエリヤ。
タミル料理の屋台やお店が多い。
その中でも一際、気になったのがこのお店。
スリ・アンバーラス・ヴェジタリアンホテル。
ピュアベジタリアンの食堂です。
ヌワラエリヤに到着した夜に行きました。
フレンドリーなスタッフ達と仲良くなり、厨房でマサラトーセ(マサラドーサ)を焼くところを見学させてもらいました。
(タミル人の多くはシンハラ語を話すことができます。)
動画でどうぞ!
いっちょあがり!
手前の食べさしがジャガイモ他の具が入ったマサラトーセ。奥のが肉厚でふわったとしたプレーントーセ。ウルンドゥワデーも。サンバルとココナッツチャトニ(青唐辛子がっつり)でいただきました。
全体の塩加減、トーセの厚み、焼き加減、いろんな部分が絶妙で、めちゃめちゃ気に入りました。
このスリ・アンバールス食堂。すごく気に入ってしまい、翌日も。
今度はお昼だけのミールスをいただきに。
ビュッフェスタイル。もちろんオンリーヴェジ。
欲張り盛り。
この赤いお米。スリランカでよく見る赤米、ラトゥキャクルよりも、ひとまわり、いやふたまわり大きい。あまり馴染みのない食感でしたが、おかずと良く合って美味しかった。
そう言えば、一昨年、「風だ」のみんなで行った南インド、ケラーラのコーチンで食べたお米ににているなぁ。
後ほど、近くの市場で、聞いたら、
どうやら「ラトゥナードゥ」というタンバプハール(脱穀前に茹でている米)の一種。奥のは「ラトゥサンバ」でこれもタンバプハール。
ミールスですが、
別皿はラッサム。サンバル、冬瓜、オクラ、ネギ、ジャガイモそれぞれの料理、それからパリップワデー。
こちらも好みの味付けで、スルスル食べて2度のオカワリ。
めっちゃ美味しくて、感激!
ご馳走様でした!
お皿に張られたランシートを丸めて、ゴミ箱へ。お皿を洗わなくていいシステム。(このシステムけっこう良くあります。)
僕たちが店を気に入っているので、スタッフのみんな、そしてムダラーリ(社長)も話かけてくれ、楽しいひと時。
バール社長。
一見、知的で物静かな面持ちですが、ラジニーカーント(インド映画のスーパースター)好きの陽気なおっちゃん。
そして、思い切って言いました。
「ここで、丸一日、タミル料理の勉強させて下さい!」(シンハラ語でですが)
二つ返事でした。
「明日、朝の六時においで。」
「ありがとうございます!」
ということで、ヌワラエリヤ滞在を一日延ばしてタミル料理の厨房体験です。
もちろん、たった一日で、ものになる訳はないです。でもスリランカ料理に携わっている以上、タミル料理は知らないでは納得できない。
できることから、やってく。
翌朝。
この食堂は大きく、一階と二階に別れています。
一階はトーセ、イドゥリ、ワデー、ロティなどの軽食を提供。
二階は、タミル式ライス&カリーと言いますか、ミールスを提供。(昼のみ)
厨房も一階、二階に別かれて約20人のスタッフが常時働いています。
お邪魔させてもらった厨房の風景を行程や時系列が前後したりしますが写真で紹介していきます。
まず二階の厨房で一際存在感がある二台の機械。
電動石臼!
機械の回転している部分と内部の窪んだ底の部分は本物の石。
こいつらがなかなか万能で。
右側はココナッツと赤唐辛子他でチャトニを。
左側はウルンドゥ豆他でワデーの生地を。
すり潰しながら練り込んで行きます。
トーセ(ドーサ)、イドゥリの生地ももちろん。
ラッサムのペーストまで。
ぞれぞれけっこう長い時間ほったらかしでええ感じに仕上がって行きます。
なにはともあれ
玉ねぎ剥き。
イドゥリの生地を型に。
それを蒸す鍋はこのサイズ。
イドゥリを蒸す鍋。さっきの型三段を中に積んで蓋をして蒸していきます。
トーセの生地作り。
さっきの電動石臼でつくった生地のベースに水、塩を加えて伸ばしていきます。
この生地の緩さ具合がとても大切。
ミールス用の大量の野菜を切る。床スタイル。
へちま、蛇瓜、キャベツの葉、ニンジン、ナス、トマト、玉ねぎ、などなどなどなど。
ミールスを全て仕切るのは、アブハニファーさん。レモンライス仕上げ中。
蛇瓜と十角ヘチマのココナッツミルク煮。
ナスのクルマ。使うスパイスの量が凄い。ココナッツミルクを加え煮込んでいきます。
そこに隠し味投入!
昨日残ったパリップワデーをお湯でふやかして、潰して、鍋へ!
ラッサムの仕上げ。
ニンジンのおかず。
タマリンドの使い方に関心。
他にもたくさんの野菜料理を凄いスピード仕上げていきます。
お米も炊きあがり。
お皿もスタンバイ。
そして!
MEALS READY!!
(これ言ってみたかったw)
揚げ場では、
ワデー(ワダ)がどんどん揚げられていきます。
揚げ物担当、マゲーインディランさん。
写真のは、ウラド豆の生地に、豆、複数の野菜が入ったパリップワデー(マサラワダ)
こちらは、シンプルなウルンドゥワデー。
緩い生地をこのドーナツ形状にして油に落としていくのが、難しい。
マールミリス(大きなシシトウのよう)に、ジャガイモ他の具をつめたものもスタンバイ。これに小麦粉を溶いた衣を付けて揚げます。ミルチワデー(ミルチワダ)。
シンハラ料理の、ビスケットクドゥ(パン粉)をまぶして揚げるマールミリスカトゥレットのよう。
スシヤム。
ムング豆を使った甘い餡子に衣を付けて揚げたもの。
他にパリップワデー。ボンダなど、二台の大きな揚げ鍋で次から次へと。
揚げたてをちょっとつまみ食い。
上のはウルンドゥワデー。下のがパリップワデー。
いまやタミル、シンハラ問わずスリランカ全土で愛される軽食。
文句なしにナッラルシー!(タミル語で「おいしい!」)
厨房内の何カ所には、
ヒンドゥーの神棚やアイテムがあります。
一階では、
次々と紅茶を淹れていくサッティーさん。
ステンレスの器がタミル的。
水場では、
お湯を沸かして、シャワー中w。(ヌワラエリヤは寒い)
焼き場では、
ポルロティ。
ココナッツ入りのロティ。
トーセ(ドーサ)がどんどん焼かれていきます!
僕も挑戦!
生地を掬った器の底で、綺麗に伸ばします。
何度か焼いたことがあったので、なんとか形に。(なってたと思います。)
さらに、
「シンハラ料理やってるなら、ロティを伸ばせるだろ!」とロティ伸ばし&エラワルロティ包みを披露することに。
みんなちょっと認めてくれた!嬉しい!
(写真撮影:ホール担当のダルマくん。おおきに。)
もう一度、トーセ(ドーサ)に戻って。
左のがプレーンのトーセ。右のが薄く焼いたペーパルトーセ。左のがプレーンのトーセ。右のが薄く焼いたペーパルトーセを焼いているところ。(※ペーパルはペーパーが訛ってる)
このペーパルトーセは生地を広げるのが難しい。。。
焼き上がりはこんな感じ。
(左)プレーントーセは両面焼き。フワっとした食感とほのかな酸味がいい。
(右)ペーパルトーセは片面を焼いてきれいに丸める。クリスピーで香ばしい。
鉄板手前はトーセを焼くためのアイテム。
ココナッツオイル。ギー。水。鉄板に水を巻く道具。トーセひっくり返す道具。
トーセ。
他にも初日に食べたマサラトーセや
炒めたタマネギを包むオニオントーセ。癖になる味わいでお気に入り。
他にもたくさんのバリエーションがあります。
改めて、プレーントーセの焼く行程。動画でどうぞ!
客席は、
朝から晩までひっきりなしのお客さん。
盛りっぷりも気持ちいい!(食べ放題のミールス)
ワデーは一人一つまで。
大口のテイクアウト。
かわいいお客さん。
ミールスはお昼のみですが、焼き場や揚げ場は朝から晩までほぼフル回転。
あっと言う間に閉店時間に。(20:30)
洗われた配膳用の什器。
閉店後の店内で、残ったトーセをひとりで食べるバール社長。
発見だらけの一日でした。
社長やスタッフとのみんなとも凄く仲良くなれた。
(スタッフのひとりのお父さんのタミル式お通夜にも恐縮ながら参列という恐縮な体験も。)
本当に刺激的すぎで、自分の中で消化できてない&アウトプットもノーアイデアの現状ですが、
「スリランカのタミル料理」もっともっと分かりたい。
頑張ります。
ちなみに翌日も半日間、厨房にお邪魔させていただきました。
スリアンバールス・ヴェジタリアンホテル
SRI AMBAAL’S VEGITALIAN HOTEL
No.29,New Bazaar Street, Nuwara Eliya. Sri Lanka
tel: +94-52-2223840 +94-52-4907572
ヌワラエリアに来た際は是非!
道の向かいちょっと北に。「アンバスール」という支店(元本店)もあり、現在、コロンボに4月開店予定の新店舗(名前は新たになるそう。)を作っているそうです。
無茶なリクエストを受け入れていただき、本当にありがとうございました!
また来ます★